バーンズ氷帽の再拡大、約2,000年前の開始を示す証拠
カナダ北極圏のバーンズ氷帽では、保存された植物と岩石の年代から、約2,000年前に氷が後退から再拡大へ転じたことが示唆されています。
Ars Technicaが紹介したScience掲載の研究は、これを次の氷期へ向かう初期段階と解釈し、人為的な温暖化によって1960年ごろに拡大が止まったとしています。

バーンズ氷帽は、かつてのローレンタイド氷床が残ったものです。 Ars Technicaの記事によると、ここの氷は地面に凍りついて滑らないため、覆われたツンドラの植物が壊されずに保存されます。
研究チームは、露出した岩石の表面に蓄積する放射性同位体のベリリウム10を測り、氷が退いた時期を推定しました。
さらに、コケの放射性炭素年代測定から、前進する氷に覆われて枯れた時期を調べました。
この二つの方法で、後退に続く再拡大の経過を復元しています。
岩石が露出した時期の推定では、ローレンタイド氷床の残存部分は約3,600年前までに現在の氷の縁より内側へ後退し、約3,000年前にはさらに縮小していたと考えられます。
これは過去の後退を復元したもので、連続した観測記録ではありません。
バーンズ氷帽そのものが再拡大を始めた時期は、なお推定です。
古い植物はまだ氷の下にあり、約2,000年前という時期は、同じ気候条件にある近隣の氷帽で過去に得られた約200件の植物の枯死年代に基づきます。
それより古い年代は一つもありませんでした。
記事によると、バーンズ氷帽では1960年以降に氷の縁が200〜800メートル後退し、西暦1000年ごろ以降に枯死した植物が露出しています。
筆頭著者のNicolás Youngは、再拡大を次の氷期の始まりと解釈していますが、本格的な氷期の気候がすでに到来していたという意味ではありません。
巨大な氷床が発達するには、さらに数万年かかったと説明しています。
焦点は、氷が成長へ転じた初期段階と、その動きが止まったという解釈にあり、温暖化が目前の氷期を回避したという話ではありません。
情報元
- Ars TechnicaIce sheet expansion may have started 2,000 years ago, but we canceled that元記事を読む →